Izmirとその周辺

女子大生のゴミエブリデイ

父が昔くれたピアニッシモの景品の話

 

 最近、喫煙してみたいと思う時がある。

 アークロイヤル、キャスター、キス、ピアニッシモ……初心者でも吸える銘柄は結構あるようだ。バイト先やよく行く飲み屋では喫煙者を見かけることが多く、意外と周りに触発されるもんだな、と思ったりする。

 

 

 私が幼い頃、転職した父が煙草を吸い始めた。銘柄はピアニッシモ。女性向けと言われている銘柄だ。

 父が転職した業界は男社会で、喫煙所が社交場だったのかもしれない。新しい環境と人間関係に馴染むための手段が、煙草だったようだ。極力身体に影響がないようにと、手に取ったのがピアニッシモだったのかもしれない。(全部憶測)

 

 コンビニで煙草を買うと、選んだ銘柄に販促の景品がついてきた、なんてことがある。ライターとか携帯灰皿とか、だいたいは喫煙のための道具がオマケとしてついてくる。

 ある日、どこかに家族で出かけた際、父がコンビニで煙草を購入した。すると、景品がついてきたらしく、私にくれた。表はオフホワイト、裏地はショッキングピンクの布でできた、タバコと同じサイズのミニポーチ。ジッパーを閉めていれば小綺麗なデザインだった。ピアニッシモは女性が多く購入する銘柄なので、景品も女性を意識したデザインにしてあるのだろう。

 私はそれをデジカメケースとして使っていた。小型のデジカメを入れるにはぴったりのサイズだし、持ち手もついてて、何よりデザインが「かわいい」。

 

 当時、妹のほうが見た目も性格も(いわゆる)女の子然としており、より女児向けのデザインのものは妹に、大人っぽい若しくはボーイッシュなデザインのものは私に分け与えられてきた。「かわいい」ものから縁遠い存在だと自分を認識しつつあった私は、急に与えられた「かわいい」ものに心躍らせたのであった。

 

 数年後、母が妊娠したことをきっかけに父は禁煙した。ニコレットを噛んでいた。ミニポーチは無くしてしまった。かわいいデザインだったから、今手元にあったら絶対使っていたのに。

 

 

 店頭でピアニッシモを見かけると、父とのその思い出が頭の中をよぎる。喫煙できる年齢になったので1度試してみたいと思いつつ、結局怖くて手が出ない私なのであった。