Izmirとその周辺

女子大生のゴミエブリデイ

虫歯治療で人造人間になる話

 

 生まれてこのかた歯科治療というものをしたことがなかった。それが一変したのはつい半年前、近所の歯医者で気まぐれに定期検診を行なってもらった時。

 

 その日から今に至るまでずっと歯科治療に通っている。いつの間にか口内が虫歯まみれになっていた。カクテル飲んでそのまま寝ちゃったりしてたからかな。ココアが好きでよく飲んでいるし。

 

 歯は大幅に再生することはない。虫歯がある程度進行してしまうともう出遅れで、人工の何らかの素材を死ぬまで口内に留まらせなければならない。私はそれに気づかず歯を蔑ろにしてきた。

 

 治療をしていると、自分がどんどん人間から遠く離れた存在に感じてくる。自分の身体に人工物が増えていくと同時に、人間として何かが欠如していく気がする。

 ロボットとまではいかないが、人造人間のような、そんな存在になった気持ち。

 

 だから、歯医者にはいつも人造人間になるために行く。そんな気分で待合室で座って名前が呼ばれるのを待っている。

 側からみたら気づかないだろうけど、私、人造人間なんだと心の中で誰かに言いたくなる。

 

 そんなことを言ったら、幼少の時点でう歯治療している人間なんか長年人工物を体内に嵌め込んでいるんだから……と思うかもしれない。他人の話は抜きにして、少なくとも私は、もう純粋な人間ではないのだ。

 

 純粋な人間ではないけれど、確かに人間として生きている。

 人間ってなんでしょうね。